第7章 最悪と最善
考えていても仕方ないと思ったらしい。
腕やら足やら至る所がほどけて、あたし目掛けて一気に鋭い紐が伸びてくる。
──これ、絶対当たるとまずい!
直感でそう判断して、一度飛び退る。
ちょうどあたしが立っていた辺りの地面に飛んできた紐が突き刺さり、いくつもの穴が開く。
心臓が縮み上がった。
いや、いやいや。紐でしょう!?それ!
刺さったら洒落にならん!!
思わず怖気付いちゃうけど、そんなことも言ってられない。自分を叱咤して相手の出方を見る。
なにも勝たないといけないわけじゃない。
隙を見て逃げ出せればいいだけなんだから。
──だけど、現実はそんなに甘くなかった。