第7章 最悪と最善
あたしは近くにいた海賊たちを一通り切り伏せて道を作ると、他の海賊たちが近づいてくる前にシュラウド(メインマストに向かって伸びてる縄はしごみたいなものね)目掛けて一気に走り抜けた。
そして、たどり着くと慣れた調子でするするとそれを登る。
…懐かしい、この感じ。
港で働いてた頃、休憩時間によく登ってたな。
なんて感傷に浸ってる場合でもなくて。
なにしろ下からは銃撃の嵐。
「怖い怖い怖い!!」
さっきまでは海賊たちの中心を走り抜けてたから、むやみには撃たれなかったけど、今は梯子にあたし一人なもんだから、まさに格好の的。
こんなところで撃たれてたまるか!
なかばヤケになりながら一心不乱に手と足を動かす。
肩のあたりすれすれを掠める銃弾に冷や汗をかきながらやっとの思いでのぼりきると、一つ深呼吸をして。
ここまでくれば弾も届かない。下から登ってくる海賊が見えるけど、そんなの待ってるわけないじゃない。
あたしはここにきた理由を思い出して、ぎゅっと刀を握りしめた。
──怖い。けどもうやるしかない!
刀をぐっと持ち上げて頭の上でかまえる。
そして。