第6章 海賊
──夜。
みんなが寝静まってから、あたしはなかなか寝付けないでいた。久しぶりに体を動かして体が熱っているせいだろうか。
それにしても…。
久しぶりに動いたにしてはちゃんと体が動いてよかった。一人になってしみじみ考える。
ローが教えてくれた護身術は確実に役に立っている。無ければ、今までで少なくとも2回は死んでいたに違いない。
──あの人は今どこにいるんだろう。
数週間前の記事から何か変化があっただろうか。新聞も読めないから世の中がどうなっているかさっぱりわからない。
あたしがこんなことになっているのを知ったらどんな反応をするだろう。助けに…来てくれるかな。
…いや、あの人なら眉をしかめて、自分でなんとかしろって言いそうだ。スパルタだから。
そんな想像をしている自分に思わず笑みが溢れる。
ローがどんな反応するかなんて。
そんなこと考えたって意味ないのに。
無性に彼の顔が見たくなった。
世経は奪われた荷物の中にあるから、記憶の中の面影を手繰り寄せるしかない。
──会いたいよ、ロー。