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マリージョアの風【ONE PIECE】

第6章 海賊


「…やっちゃった…」


遠巻きに見つめる、一緒に監禁されていた人たち。駆け寄って来る海賊ども。


視界が広がるにつれて、さっきまでの冷静な思考は空気に溶けて消えた。


代わりに、今までどこかに行っていた通常の感覚が帰ってきて軽くパニック状態に陥る。


ど、どどどうしよう。
こんなことするはずじゃなかったのに。


何がシンプルな作戦??
何があたしでも覚えられる??


初手から盛大に間違ってしまった。
途方に暮れて思わずマリーとナーティを目で探す。



マリー、ナーティ、どうしよう!!



「おまえ〜何だ?」



突然、前方から飛んでくる声。


あ、あたし?
そりゃ、あたししかいないよね。


狼狽えるあたしに対して、頭を押さえた船長は不審そうな顔であたしを凝視していた。


何?


そんなにじっと見られる理由が分かんなくて、奇妙な沈黙に居心地が悪くなる。


あたし、もしかして殺される?


ぐるりと取り囲む海賊たちを見る。


さすがに、この人数は相手できない。
船長にだって勝てるかわかんないのに。




「船長、こいつは売れば金になります」




不意に人混みから声が聞こえた。
海賊の一人?


あれ、でもこの声って…。


「確かにそうかもな」
「船長、こいつは生かして売りましょう」


さっきの声に後押しされたのか、口々に騒ぎ立てる海賊たち。


よ、よし。いいぞ。
なんだかよく分かんないけど、殺さないでね。


海賊たちの意見に納得したのか、それとも2発も蹴りを入れられたことに得体の知れない気味悪さを感じたのか。はたまた、捕虜の小僧に興味を無くしたのか。


それは分からないけど、船長はおもむろにガバガバと酒を飲み、


「縛って部屋にぶち込んどけや」


しゃがれ声でそれだけ言って、その場を去ったのだった。


危機一髪…。
あたしはほっと胸を撫で下ろす。


そして心に誓うのだった。


もう反抗しない。
…少なくとも、アラバスタに着くまでは。



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