第6章 海賊
「おいボウズ〜。さっきからジロジロ見てなんだぁ〜??」
突然、標的がこちらを振り返った。
本当に、突然。
「ひぃっ」
予想外に振り向かれてあたしは素っ頓狂な声を上げる。
うっっそ!
他所を見ていたと思ったのに!
酒でベロベロかと思いきや、思いの外、据わった目で凄まれてあたしはたじろぐ。
「ちょっとこっちこいよ〜」
ダラダラと間延びした声が聞こえた。
しゃがれた、汚い声。
誰が行くもんか!
喉まででかかった言葉を飲み込んで、とりあえず睨み返す。
この声、あたし知ってる。
襲撃の時命令してた声だ。
そうか、あいつが船長だったんだ。
商船のみんなを殺すように命令していた、あいつが。
警戒しながら相手の出方をうかがってた時。
──思いがけないことが起きた。