第6章 海賊
おれそういうの苦手なんだけど…とかなんとかぶつぶつ言ってるマリーを放っておいて、話を進める。
「すり替えるのはいいとして、奴らのポースは誰が持ってるのかが問題だよな」
マリーはまだ何やら文句を言ってたけど、やがて諦めたようにため息をついてから、言葉を繋いだ。
「それについては問題ないと思う。ポースはだいたい船長か航海士が持ってるのが基本だし、二人についてはだいたい目星がついてる」
「え、うそ。いつのまに…!?」
「君は1日に何回も部屋を出れるタイミングがあるのに、その時間に何してるの。本当にトイレに行って帰ってるだけ?」
呆れたようなマリーに返す言葉もない。
だってだって。
見張りはいつでもぴったり付いてきてるし、トイレに行って帰って来る以外他に隙なんてないでしょう!?
呆気に取られて見つめるあたしに構わず、マリーは話を続ける。
「この船はリヴァースマウンテンを超えてかなり損傷しているはずだから、あと2.3日はここから動けないだろうね。チャンスだと思って、その間になんとかするしかないね」
よく超えれたよね、この船の装備で。
なんてしみじみ呟くマリー。
「この船、リヴァースマウンテン超えられない可能性もあったわけ…?」
不安になって恐る恐る聞いてみたあたしに対して、マリーは何でもないことのように爽やかな笑顔で言うのだった。
「確率で言うと、50/50(フィフティ-フィフティ)かな」
…あたしは卒倒しそうになった。