第6章 海賊
「ちなみに、アラバスタは商人に聞いた話では安全な国だから安心していいよ。半年くらい前に大規模な反乱があってから、今は落ち着いているらしい」
ナーティは目をぱちぱちさせながらつぶやく。
「まるで、こうなることが分かってたみてぇだな」
「おれ、運だけはいいんだよ」
マリーはにっこり笑う。
運がいいって言ってもあんた…。
あたしも驚きが隠せないけど、マリーは商船に乗ってからエターナルポースを手に入れてた。
それがたまたまアラバスタっていう安全な国のエターナルポースで、あたしたちがたまたまグランドラインに流れ着いたっていうだけ。
どれもこれも誰にも予想がつかなかったことで、だからもうマリーの運の良さは筋金入りだと思うほかない。
あたしはまだ目をぱちくりさせていたけど、ナーティは切り替えたらしく、疑問を断ち切るように、縛られた両手を小さく挙げた。
「ま、いいや。アタシ、入れ替えるのやるよ。スリ、得意なんだよね。昔よくやってたから」
そうだ。マリーの運がいい話をしてる場合じゃない。入れ替えが失敗したら元も子もないんだから。
ナーティの言葉にこくりと頷いて、あたしが続きを引き受けた。
「じゃあ、おれとマリーで囮役やるよ。ナーティが入れ替えてる間、海賊の注意を引いてみる」
「え、おれも?」
驚いた様子のマリーに、当たり前のように頷く。まさか、一人で留守番するつもりだったの?