第6章 海賊
「あんた、ずっとそんなこと考えてたの」
「まあね。で、多分比較的早めに手放されるおれたちにとっては、最初の航路を選ぶところが肝になるわけ。奴らの選ぶ島に着いてしまうと、恐らく脱出は絶望的だろうね。だけどもし、その島がおれたちの思い通りにできたら、いいと思わない?」
ナーティは軽く頷く。
「あいつらがどこまでグランドラインの奴隷市に目星を付けてるのか分からねぇけど、確かに、安全な島に誘導できるに越したことはねぇな」
「そう、それでこれの出番」
マリーは少し動き辛そうにしながら、ポケットから何か取り出した。
「ALABASTAのエターナルポース!」
思わず小さく声を上げてから、慌てて口を押さえる。ナーティもあっけに取られてマリーの手の中にあるそれを見つめた。
「にーちゃん、どこでそれを…」
「いつ使うかと思ったら、やっと出番が来たね」
マリーはにやっと笑いながらポケットにそれを仕舞い込むと、さらに声を顰めた。
「初めからグランドラインに入る気だったなら、彼らはエターナルポースかログポースのどちらかは持っているはずだ。それをこれと入れ替えるんだ」
ひとまずアラバスタまで安全に航海してもらって、脱出はそのあと考えよう、とマリーは飄々と言ってのける。