第6章 海賊
そして何を思ったのか突然、
「さて、ここで問題。この荷物の中から何が一番はじめに売られるでしょう?」
縛られた手で人差し指を立て、そんなことを言う。
一番はじめにって、それって重要なの?
疑問に思いながらも、色々と考えてみる。
ここはあたしの意見よりマリーの話を聞いた方が良い気がするからね。別にマリーがあたしより何倍も冴えてるって思ったわけではないけれど!
「食糧…いや、それは食べる気だよな。じゃあ衣服?うーん、あんまりしっくりこない。宝石や武器?と言われるとそれも別に後でいい気がするし…」
頭を抱えて悩んでるあたしの隣で、ナーティがつぶやく。
「アタシたちってことか」
「ご名答。一番は人間だろうね」
「なんで…あ、ご飯を食べるから?」
「うん、まあ、だいたいはそういうこと。それに、人間は病気にもなるし、怪我もする。ここでの扱いを見るに、彼らはおれらを長く面倒見る気はないみたいだ。病気になる前に売りさばくっていう考えの方が納得するね」
な、なるほど。
言われてみれば妥当な気もしてくる。
たしかにここでの待遇はお世辞にも良いとは言えない。このままでは確実に誰か体調を壊しそうだ。
「おれも初めは、グランドラインに入るにしても、その前に人間は降ろされるかと思ってたんだけど、それは考えが甘かったみたいだ」
そう言って少し笑うマリー。
いつもと変わらず平然とした態度だったけど、いつもと違ってとても頼もしい。
そもそも拘束されてこんなところに鮨詰めにされている時に、冷静にそんなこと考えていたなんて。あたしなんて教会のことを思い出して涙ぐむくらいしかしなかったのに。