第6章 海賊
「まず、状況を整理しよう」
あたしたちにだけ聞こえる声で話し出すマリー。
「この船はついさっきグランドラインに入った。外の様子がわからないけど、さっきの揺れはリヴァースマウンテンを超えたってことでまず間違いないと思う」
うん、あたしもそこまでなら理解できた。
さっき説明されたからね。
「となると、奴らはこれから7つの航路から行き先を選択するはずなんだよ」
「7つの航路?」
「うん。どれを選んでも最後は一つの航路にたどり着くんだけどね。グランドラインの始まりには航路が7つあって、どれを選択するかで向かう島々が決まるんだよ」
…なんでマリーがそんなことを知ってるの?
気になったけれど、聞いても仕方ないのでとりあえず先を促す。
「そして、当たり前だけど、彼らの選ぶ航路はおれたちにとっては不利な可能性が高い」
それは…まあ何となく想像がつく。
彼らが選ぶ島が治安がいいとは思えない。
きっと荒くれ者が集う危険な島を選ぶだろう。
…だけど。
あたしはふと思って口を開く。
「だけどさ、島は何個もあるんだから、全部が全部危険な島とは限らないんじゃない?どこかで安全な島があれば、そこで逃げ出せばいいんだし」
「そんな悠長なことも言ってられないんだよ」
あたしの言葉に、マリーは残念そうに首を振った。