第6章 海賊
「んなこと言ったってどうしようもねぇよ、腹括るこったね。とりあえず、リヴァースマウンテンを無事越えれることを願うしかない」
そ、そんな……!
完全に諦めた様子のナーティ。
もう一度後ろを振り返ってすがるような思いでマリーを見る。
「ま、マリー。今からでも海賊たちを倒して逃げるってのはどう?」
だけど、マリーはにべもなく、肩をすくめて淡々と事実を述べるのだった。
「それ、君が一人でやるの?言っとくけど、おれ腕はからっきしだからね。ここに居る人たちに声をかけてもいいけど、どっちにしても女子供が大半だから戦力にならないと思うけど」
あたしも無理だと思ってたけれど!
それができるならもっと早く行動したと思ったけど!
ここに来るまでにどこかの島に停まってくれれば、あたしたちにも脱出の機会はあったのかもしれない。
だけど、この船は一切寄り道せずにこんなところまで来てしまった。
海上での脱出は不可能。
だから大人しく縛られていたわけだけど!
「だけど、ノースブルーに帰れないかも知れないのに、このまま何もしないってわけにもいかないだろ!」
歯痒い思いで、前で縛られた手首を見る。
とりあえず、これをマリーに外してもらおう。
話はそれからだ。
「なぁ、マリー。この縄を…」
「残念だけど、多分それももう手遅れだ。舌噛まないように口閉じてて」
マリーが言った瞬間、グランと大きく船が揺れた。