第6章 海賊
あたしは言い返す気力もなくて、一つため息を落として呟く。
「これも白ひげの影響っていうのかなぁ…」
襲撃の時に聞こえたいくつかのワード。
“白ひげ”、そして“新しい時代”。
白ひげが亡き者になった今、彼の縄張りをめぐってこれからいくつもの海賊が抗争を繰り広げるのだろう。
その第一波に巻き込まれている身からすると、激動の時代がやってくることは容易に想像できた。
「たぶんね。これから海は荒れるだろうね」
あんなに世経に興味の無かったマリーも、それには同意のようだった。
だけどすぐに、
「ま、今それを言っても仕方ないし、隣の彼女の言うように今のうちに寝て体力を温存しといた方がいいかもね」
楽天的にそう言って、ぱたりと声が途絶える。
──もう、二人とものんきなんだから。
あたし呆れてしまったけど、さしてやること無いのも事実で。
やがて、つられるように眠りに落ちたのだった。