第6章 海賊
あたしも寝ようかと思ったけど、こんな状況で熟睡できるはずもなくて、代わりに後ろにいるはずのマリーに声をかける。
「マリー、この海賊たちはどこに向かっているんだと思う?」
「さぁね。それは海賊たちに聞いてみないことにはわからないな。どこかの島に停まってほしいのは山々だけど、奪った食糧があるだろうから、しばらくはこの生活が続くかも知れないね」
「そんな……」
マリーの言葉にますます絶望的な気持ちになる。聞かなきゃよかった。
でも、言われてみれば確かにそうだ。
海賊たちはいろんな船から強奪してるみたいだし、食糧もそのほかの物資もかなりの量を確保しているだろう。
そう思うと、あたしの荷物まで奪われたことに腹が立つ。
「そんなにあるなら、何もあた…おれの分まで盗らなくてもいいのに…」
あの中には懸賞金の50万ベリーがあったのに。あれさえあれば、教会の子供たちに少しでもいい思いをさせてあげられると、そう思ってたのに。
一人ぶつぶつ呟くあたしに、後ろから少し楽しそうな声が聞こえてきた。
「ね。お金があっても思うようにいかないでしょ」
マリーはあたしの荷物の中身を知っている。多分そんなに高額だったとは思ってないだろうけど。
今思えばマリーがお金をさっさと使ってしまったのは偉かったのかも知れない。
交換したエターナルポースはまだ持ってるのか知らないけど、確か、海賊たちがあたしたちから荷物や武器を押収したときには何も差し出してなかった気がする。