第6章 海賊
「まあでも、あんたも後ろのにーちゃんも、売られるなら少年趣味のど変態野郎のところだろうから、どっちにしろ関係ねぇだろうけどね」
ニヤッと笑う少女を見て、今度はあたしが呆れる番だった。
話し方を変えて、気持ち低めに声を出す。
「あんたこそ、売られるなら一緒だろ」
「バカ言うな。アタシがそんなヘマするかよ。船にいたら爆破されてお陀仏だと思ったからこっちに来ただけ。頃合いを見て逃げ出すに決まってんじゃん」
ダテに1人で旅してないっつの。
ぺろりと舌を出し、余裕げな笑みを見せる。
"国内の、ほんの数日で行ける島へ"しか行ったことが無いあたしを馬鹿にするような、そんな笑み。
なぜか恥ずかしくてふんとそっぽを向く。
「動かないといけない時のために今は体力温存しときな」
少女は声を噛み殺して笑い、そう言うや否や、すぅと寝息を立て始めた。図太いというかなんというか。
あたしはますます呆れてその少女を見るのだった。