第1章 夢
お昼までは男たちに混じって必死で積荷をおろす。体力がある男性でもかなり疲れる仕事だ。
でも仕事仲間にその細っこい腕でよく運べるな!と笑われるたびに自慢げな気持ちになるし、何より海に近いここで働けるのは本当にうれしい。
思い切って少年になってみてよかったと常々思う。
こんな楽しい場所に参加できないなんて、それだけで女の子は損よ!という気持ち。
ま、こんなこと思うのあたしだけなんでしょうけど。
前に教会にいた女友達は口をそろえて、力仕事しないでいいから女の子に生まれてよかったって言ってたもの。
「この荷で最後だな!」
正午を回るか回らないかという頃に、どこかで誰かが叫んだ。その声を聞いて、あたしは額の汗を拭いながらふぅ、と息をつく。
商船の中の積荷を全ておろすと、次に商人たちのお金のやりとりがある。積荷を下ろしていた人はその間しばし休憩だ。
たいていあたしは、港の石畳に座り込んで待つ。間も無くしてそれが終わると、人々は荷を持って自分の店に帰る組と、次の島行きの荷を積み込む組に分かれるが常だった。
ほとんどの場合、あたしは後者に混ざる。だけど、たまーに街のお店まで荷台を引く手伝いをしたりもした。
どっちの組になるかはその時次第で、どっちにしてもかなりやりがいのある仕事だった。