第5章 時代
『【号外】白ひげ 戦死』
「うそ…でしょ…」
白ひげって、あの?
四皇の一人で、世界最強の男。
エドワード・ニューゲート、その人のこと??
震える手でページをめくる。今日の世経は一面だけでなく全面その話で埋め尽くされていた。
未だかつてない大事件、だそう。
そりゃそうだ。
マリンフォード頂上決戦
火拳 ポートガス・D・エース
白ひげ エドワード・ニューゲート 両名死亡
…こんなことが起きるなんて誰が想像できる?
記事の中には、一度は聞いたことのあるような名のある海賊や海軍幹部の名前が至る所で出てきた。
その中には、ほんの数週間前あたしを助けてくれた海軍中将つるの名前もあって。
やっぱりすごい人だったんだ、とか。
そうか、ここはノースブルーの端っこだから海軍ならカームベルトを抜けて意外と早く向かえたんだ、とか。
あたしは放心状態で、そんなどうでもいいことを考えた。
何度も出てきた"麦わらのルフィ"の文字。
もともと何かやりそうな人だと思ってたけど、まさかこんな事態にまで首を突っ込むなんて。
そして、あたしの心をさらに動揺させたのは最後に書かれていた一文。
「また、負傷した麦わらは同じく最悪の世代ルーキー トラファルガー・ローによって救出された模様。海賊同盟を結んだ可能性もある。って…」
な、なにしてんの!!!
あたしの知ってるあの人なら、海賊同士の助け合いなんて鼻で笑うはず。
一面記事は2回3回と舐め回すように全部読み、続く面の海賊研究家とかいうどこの誰かも分からない人のインタビュー記事までしっかり読み込んだあと、あたしは疲れ切ってその場に座り込んでしまった。
「信じられない…」
世経を握りしめたまましばらく呆然とする。
そうだ。
マリーはこの記事をもう見たかな。何かとぼんやりしているマリーだけどこれは流石に慌てるに違いない。
早く教えてあげないと…!
そんな使命感にも似た思いが芽生えて、紙面を片手にあたしはマリーの元まで走る。
途中、派手に転んだけど痛みは感じなかった。頭の中にいろんなワードがぐるぐると回っていて、それどころじゃなかったから。
マリンフォード、海軍、赤犬、麦わら、白ひげ、エース、トラファルガー・ロー…
ロー!!!