第5章 時代
早速近くにいた人に声をかけようとしたけれど、何やらみんな忙しそう。
「こりゃとんでもないことになった!」
「号外だ!号外だ!!」
「時代が動くぞ……!!!」
いや、忙しそうなんてもんじゃない。皆一様に取り乱し、てんやわんやの大騒ぎといった感じ。
「なんだいボウズ、お前も世経読みにきたのか??」
あまりの騒ぎ具合に呆然としていると、恰幅の良いおじさんが野太い声で尋ねてきた。
「…これは何事??」
よく見ていると、確かに世経らしき新聞がいくつも飛び交っていた。
世経になにか載ってるの?
でもこんなに皆が慌てる程の事態って、なに?
無言でぽんっと放られた紙を思わずキャッチする。みんなが取り合って読んだせいで、すでに紙面はボロボロだった。
だけど、そんなのどうでもいいぐらい衝撃の内容が。
皆が慌てるのも頷けるくらいの、世界を揺るがす重大ニュースが。
──そこにはあった。