第5章 時代
船での生活は飛ぶように過ぎた。よく考えれば、今までこんなに長く教会を離れたことがなかった。
海上は相変わらず心浮き立つもので溢れていて、飽きることがない。
さらに今回はマリーという友達もいるから余計に楽しかった。
日々を過ごすうちに、いつのまにか早く帰りたいという気持ちも少しずつ薄れていく。
船の乗組員や乗客には実に様々な人がいた。
例えば、商人。
マリーの言っていた通り、お金を払えば荷の中から少し売ってもらうことができた。
あたしは男物の服と、教会へのお土産に『海の戦士ソラ』の最新の総集本を買った。
子供たちはこれが大好きだから、多分ものすごく喜ぶだろう。あたしも小さい頃は世経に載っていたものを読んでいた。
教会にはすでに一冊あるけれど、最新のはやっぱり絵の色が鮮やかになっている。あたしも久しぶりに読みたいしこれにしようと思った。
そう言えば小さい頃、ローとこの話をしたな。
普段無口なのに、あたしがふと話題にした時、急に饒舌になったからびっくりしたのを覚えている。
ローにもこれをあげたら喜びそうだ。
なんて思って少し笑ってしまう。
さすがに今になってそれはないかな。