第4章 友達
「面白い記事を持ってるね」
「…さっきの奴もこれの仲間?」
「まあ、そういうところだね。同族だ」
青年は世経を睨みつけているあたしをちらりと見てから、記事を指して面白そうに笑った。
「あ、どんなに嫌いでも君はこんなことしない方がいいよ。命がいくつあっても足りない」
「や、やらないよ」
さすがにね。天竜人ってのが何なのか詳しくは知らないけど、世経でこんなに大々的に取り上げられるんだから、よっぽどとんでもないことだってことくらいは分かる。
「普通の人はこんなことしないよ」
そして言っておきながら、記事の中の"普通じゃない人"があたしの知り合いだってことになんとも奇妙な気がするのだった。
青年はあたしの言葉に少し笑ってから、すぐに眉をひそめて続けた。
「さっきの街の人達はみんな、強制的にあのパレードの見物人をやらされているんだよ。この国の王族の命令でね」
ね、悪趣味でしょ。
そう付け加えてから、青年はまた海を見た。
「あたしたち、抜け出してきて大丈夫だったの?」
「さあね、誰も何も言わなかったから大丈夫なんじゃないの」
そういうもの?
ちょっと疑問に思ったけど、青年は興味なさそうに言うもんだから、あたしもそれ以上言うのはやめた。
だってもう抜け出してきちゃったし、今更まずいと言われても困る。
彼の金色の髪が太陽に照らされてキラキラと光っていた。
あんまりよく見ていなかったけど、肌の色すごく白いし、髪もさらさらだし、これはいわゆる美男子というやつなのでは?ふとそんなことを思う。
スッと通った鼻筋に、くっきりとしたアーモンド型の目。
横顔だからか、すっきりとしたフェイスラインや色素の薄い長いまつ毛が、さらに際立って見える。
教会をとうの昔に出て行った女友達が見れば黄色い歓声をあげそうだった。