第7章 純潔を失った天使は
「どうして…あんなことしたの…?」
「あぁ?」
「やめてって何度も言ったのに…アヤトくん…やめてくれなかった。そ、それに身体中にこんな…たくさん跡までつけて…」
「言っただろ?オレ以外のヤツに血を吸われそうになったオマエへのお仕置きだってさ」
「……………」
「オマエだって口では拒絶ばっかしてたけど結局オレのモノが良くてイくの早かっただろーが」
「なっ……!」
「ま、最後は意識トばしちまったけどな」
「最低ッ!!」
怒りでなわなわと身体を震わせる。笑いながら話すアヤトくんに苛立ち、キッと睨みつけた。
「オレが嫌いって顔だな」
「(嫌い…嫌い、アヤトくんなんて…)」
「……………」
「(気分も悪いし本当にサイアク…)」
「オマエ、顔色サイアクだぜ?」
「…………!」
「無理ねぇか。……あん時、殺しちまうんじゃねぇかってくれぇ飲んだからな」
「さ、触らないで…!!」
「!」
手を伸ばしたアヤトくんの手を払い除ける。パシッと乾いた音がした。アヤトくんの片眉がピクッと跳ね上がったのが分かる。
「…前はオレが他のヤツに触ったり触られたりすんのが嫌だっつったのに、今度はオマエがオレを拒絶すんだな」
「あ………」
一瞬、アヤトくんが傷付いた顔をした。
「血、飲ませろよ」
「え?や、やだ……」
「うるせぇ!」
逃げられないように抱きしめると、アヤトくんは首筋に牙を立てようとする。
「ひっ……!!」
恐怖で声が裏返る。カタカタと身体を震わせて、あの痛みが襲うのを目を瞑って待った。
「……………」
そんな私を見たアヤトくんは、血を吸うのをやめて、私から離れた。
「吸ってやろうかと思ったけどやめた。今日は勘弁してやるよ。殺しちまったらつまんねーからな」
「(良かった……)」
ホッと安堵の表情を浮かべる。
「…今日は、これで許してやる」
「え……?」
突然アヤトくんがタートルネックの裾をバッと捲り上げる。お腹と胸が丸見えで、アヤトくんがつけたキスマークと牙の跡が晒され、私の顔は一気に真っ赤になった。
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