第7章 純潔を失った天使は
「(ここで…気を失っちゃ…)」
「寝てる間に…たっぷりと味わわせてもらいますよ」
「(迂闊だった…カナトくんだって…私の血を狙ってるのに…。あ…もう、ダメ…)」
そこで私の意識は途切れた。
「メグル」
しばらくして、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「いつまで気ぃ失ってんだ。さっさと起きろよ」
「う……っ」
「やっと起きたか」
「あ、あれ…私…」
目を覚ますとアヤトくんがいた。
「(頭が痛い…)」
ズキズキと痛む頭を抑え、気を失う前の出来事を思い返す。
「(そうだ、私、カナトくんに血をよこせって迫られて…!)」
「フン、安心しろ。あのヒステリーはオレ様が追っ払ってやった」
「ヒステリー…カナトくんのこと?」
「そ。」
「ありがとう…」
助けてくれたアヤトくんに感謝しつつ、私はカナトくんに噛まれていないか確認する。
「噛まれてねぇよ。ちゃんとその前に来てやったからな。…傷つけさせちゃいねぇ。ほら、首元も…オレが噛んだ跡だけだ」
「………っ!」
アヤトくんは私を床に押し倒す。
「なんだよ、ちょっと触っただけなのに…感じちゃってんの?」
「ち、違うよ!くすぐったかっただけで…」
「ふぅん?」
「あ、アヤトくん…どうして、押し倒すの…?」
「ソノ顔…アイツにも見せたんじゃねぇだろーなぁ?」
「っ……!そんなこと、してな…」
「…許さねぇ。」
アヤトくんの手が私の首に回る。
「あ、アヤ、トく…!く、くるしっ…」
ぐっと手に力を込め、アヤトくんが私の首を締めようとする。
「オレ以外のヤツに血吸われそうになるなんてさ…!」
「……くっ……」
「苦しいかよ?ククッ。お仕置きってヤツ?ほら、もっとキツくしてやるよ」
「っ………!!」
く、苦しい……!!
「オマエはオレのもんなんだよ。…分かったか?」
「……っ……」
ダメ…声が出ない…!
やめて…こわい…
「(どうやったら…分かったって…伝わるんだろう…)」
「……………」
「(アヤトくんに身を委ねてみよう……)」
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