第7章 純潔を失った天使は
「た、大変…保健室に運ばないと!」
「おっと」
慌てて立ち上がり、その子の下に行こうとするとガシッと腕を掴まれる。
「ほっとけよ」
「そんなわけにはいかないよ!」
「そんなことより、オマエには大事な仕事があんだろ?」
「大事な仕事?」
「オレに血を与えるっつー仕事がさ」
血を吸おうとするアヤトくんにストップをかける。
「ちょ、ちょっと…!さっきあの子から貰ってたじゃない!?」
「あんなまずいの、食った内に入るかよ」
「じゃあ、なんで……」
「妬けただろ?ククッ」
「な……っ!」
「オレが、別のヤツの首元噛みついてんの見た時のオマエの顔、最高だったぜ?」
「(まさか…嫉妬させるためだけに?)」
「ショックーって書いてあってさ!オマエほんっとバカ素直だよな。ククッ、まっずいの我慢したかいがあったぜ」
「またそういうことする!」
「天使のクセに醜い感情持っていいのかよ?またドロドロした黒い気持ちになったんだろ?」
「し、嫉妬なんてしてない…!」
「前はしたくせに?」
「あ、あれは……!」
「ククッ、顔に出やすいのも困りものだな。なぁメグル…嫉妬したって言えよ」
「み、耳元で喋らないで……っ」
「言っただろ?もっともっといじめ抜いてやるって。この程度で根上げんなよ?まだまだいじめ抜いて、泣かせてやる」
「(あ、呆れた……っ!)」
「嫉妬、したんだよな?」
「だから嫉妬なんてしてないってば…!」
「へェ、じゃあ他のヤツから血、もらってくるかなぁ?」
「そ、それは…ちょっと…」
「ククッ、ちょっと?なんだよ、ハッキリ言えよ」
「(他の人が標的になってくれれば私は解放されるはずなのに…)」
「素直に言えよ。『他の女から血を吸ってほしくないです』ってさ」
「そ、そんなんじゃない……っけど、他の人が狙われて、危険な目に遭うくらいなら……私がって……思っただけで……」
「…フン。ギゼンシャ」
そう言ってアヤトくんは私を抱き寄せる。
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