第5章 変化する気持ち
その帰り道、いつもと変わらずアヤトくんが迎えに来て、公園に立ち寄った。
「あ……」
「あ?なんだよ?」
「犬だ!可愛い〜!」
「あ、メグル!」
私はアヤトくんから離れ、可愛らしい犬がいる方に駆け寄った。
「ノラかな?でも首輪してるし…よしよし、おいで」
しゃがんで手を差し出せば、犬は尻尾を振って近づいてくる。
「わ、すりすりしてくる!可愛いー!」
その後ろからアヤトくんが追いかけてきた。
「勝手にフラフラすんじゃねぇ!」
「アヤトくん、見て見て!この子人懐っこいの」
「ケッ、人に媚び売るしか生きてく術がねぇからだろ」
「またそんなこと言って…」
悪態をつくアヤトくんに呆れてしまう。
「よしよし。…わっ、くすぐったいよ!ふふ、本当に人懐っこい。やっぱどこかで飼われてる子なのかな?」
ふわふわもふもふしていると犬が私の顔周りを舐める。
「うぷっ!…顔がベトベトになっちゃうよー。でも愛くるしいから許しちゃう!」
「…………」
「いい子いい子♪」
「オマエ、そんなに犬とか好きなわけ?」
「うん、だって可愛いもん」
「じゃあ…」
何かをしようとするアヤトくんに警戒したのか、犬が唸って威嚇する。
「チッ、うるっせーなぁ。なんもしやしねーっつの。おら、大人しくしろっ!」
「ちょ、ちょっとアヤトくん!何するの!?」
「コレ、ちょっと貸せよな」
「え…首輪…?」
アヤトくんが首輪を外すと犬は逃げてしまった。
「あ……!」
「来いよ」
「な、何!?」
「犬が好きなんだろ?」
「え……」
「だったら…」
「ちょ、ちょっとアヤトくん…!苦しいっ…」
「オレ専属の犬にしてやるよ。ククッ、似合うじゃん。その赤い首輪」
「な……っ、は、外してよ…!」
「バーカ。オマエの指図は受けねぇんだよ。オマエは今からオレ様の犬だ。…オレが満足するまでな」
「あ、アヤトくん…冗談やめてよ…」
「ほら、犬。まずやることは?」
「やることって…」
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