第5章 変化する気持ち
「……っ、ん……は、ククッ」
「(くすぐったい…!)」
「はぁ、ヤベ。我慢できなくなってきた」
「え……?」
まさか…と嫌な予感がした。
「メグル、噛むぞ。…いいよな?」
「や、ダメダメ!」
そんなことされたら…声抑えられない…!
「いいじゃん。コレだけで我慢しろって拷問だろ?……チュッ」
「ん……っ」
「オマエはさ、大好きな食いモンが目の前にあって…チュッ…いい匂いさせててさ…はぁ」
「(わざとリップ音立てて…!)」
「舐めるだけで我慢できんの?」
「そ、そんなの…」
「はぁ…安心しろって。今日は、優しーく噛んでやるよ」
「そういう問題じゃ…!」
「ん……。……ん……っ……」
「……っ……!」
確かにいつもより加減して噛んでくれているが…痛くない代わりに…なんか…へンな感じがする。
「……っん……」
「あ……っ」
まずい!
声が……
「ククッ、なんだよ、感じてんの?」
「ち、ちが……っ」
「嘘つけ。……ほら……ん……」
「………っ!」
「ククッ」
「ホントにダメだってば…」
「ダメって言う割には気持ちよさそうな顔してんな」
「し、してないよ…っ」
「チュッ。」
「んっ」
「オマエの気持ちよさそうな声が漏れてんぞ」
そう言ってアヤトくんは指を噛む。
「あ、アヤトくん…声、出ちゃう…っ」
「オマエのいやらしい声、他のヤツらに聞かせたくなかったら我慢して抑えろよ。……んっ……」
「(そんなこと言ったって…)」
キーンコーンカーンコーン
「あ……」
チャイム!助かった…!
「チッ、イイところで。ま、いーや。ククッ、いい暇つぶしになったぜ?」
「私は全然なってない…」
「オマエが相手してくれんなら、また引っ張って来て同じ教室で授業受けんのも悪くねぇな」
「じょ、冗談じゃない!三つ子と別のクラスでラッキーって思ってるのに、同じクラスで授業なんてゴメンだよ…!」
私は慌てて立ち上がり、楽しそうに笑うアヤトくんから逃げるように自分の教室へと戻って行った。
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