第5章 変化する気持ち
「ですよね。分かってましたとも」
「オレと同じ教室で授業受けることに喜んでるのはオマエだろうが」
「…引っ張ってきたのアヤトくんでしょ」
「ハッ」
アヤトくんは鼻で笑った。
「ふぁ……」
「おっきいあくび。さっきもしてたけど眠いの?」
「眠いっつーか…こんなとこで起きてても意味ねぇだろ。つまんねー授業聞くくれぇなら寝てた方が万倍マシだっつーの」
「それじゃ何のために学校に来てるのか分からないよ」
確かユイちゃんがアヤトくんが授業中に起きてるの見たことないって言ってたっけ?
他の人はどうしてるんだろ?
ライトくんやカナトくんとは別のクラスだし…
レイジさんとシュウさんとスバルくんは学年違うしな
「ほら、次の時間は日本史だよ?色んなドラマがあって、結構面白いと思うんだけどな。たまには起きて話聞いてみたら?」
「へェー、あっそ。つうか、お前、オレのママかよ」
「アヤトくんのママになった覚えはないけど」
「…………」
ムギュッ
「痛ッ!!っ、もう!何するの!」
「なんかイラッとした」
「(なんて理不尽な…!)」
頬を抓られ、その理由に唖然とした。
ガラッ
「あ、先生来た。ともかく、たまにはちゃんと授業受けてね」
「うるっせー、オレ様に指図すんな」
「もうっ」
仕方なくこのまま授業を受けることにした。というか先生も何も言わないんだけど。もしかしてバレてない…?
日本史の授業が始まり、私はノートを開いて黒板に書き出されたことをまとめていく。
「…………」
「(アヤトくんちゃんと起きてる。相変わらずつまんなそーな顔だけど。)」
「メグル」
「え?」
「消しゴム貸せ。消しゴム」
「うん、いいよ」
ノートもちゃんと取ってるのかな?
もしかしたら明日は雨かも
「はい、どうぞ」
私は使っている消しゴムをアヤトくんに手渡す。
「サンキュ……なぁんてな」
「え?」
「ククッ。……っ……」
「あ、アヤトくん…指…!」
舐められてる…!
「シッ。あんま声出すと、クラスのヤツらに聞こえんぜ?」
「っ………!」
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