第5章 変化する気持ち
「それが嫌なら…その跡、誰にも見せんじゃねぇぞ」
「え……?」
「せーぜー、なっがいスカートで隠して服のボタンはちゃんと上まで留めておくんだな」
そう楽しげに言うとアヤトくんは部屋を出て行った。
「はあ、制服のスカート、ギリギリ隠れる…かな。しばらくはストッキングかも。上も鎖骨が見えるような服装は着れない。どうにか上手く隠さないと…」
どっと疲れが体中を襲う。
見せろって言ったり
見せんなって言ったり…
「もう、一体何がしたかったの?」
ベッドから降りると私は鏡を持ち、アヤトくんがつけたキスマークを確認する。
「うわあ…胸も足もこんなにくっきりついてるよ…ホントにアヤトくんは…もう…」
はぁーっと大きなため息を漏らしたのだった。
◇◆◇
【学校】
「…アヤトくん」
「ふぁ……」
「アヤトくん」
「あー…寝みぃ…」
「アヤトくんってば…!」
「チッ…ンだよ、さっきから」
「舌打ちしないで!?というより、これは一体どういうことなの!?」
「何がだよ?」
「何がじゃないよ!!どうして私はアヤトくんと同じ教室で授業受けてるの!?」
午後の授業が始まろうとした時、廊下で運悪くアヤトくんに捕まってしまった私は、そのまま彼のクラスまで引っ張って来られた。
そして何故か一緒に授業を受けることになったのだが…
「たまには他のクラスで授業受けんのも悪くねぇだろ?」
「いやっ意味が分からないよ!?ていうかここの席の人は…」
「オマエのクラスで授業受けんじゃねぇ?」
「(なんてことだ…。きっとアヤトくんが無理やり追い出したんだろう…)」
少し離れた前の席に座っているユイちゃんが困惑した顔でこちらを見ていた。うん、わかるよ、その気持ち。私もきっと同じ気持ちだもの。
「(というか先生にバレると怒られるんじゃ…)」
「フフン」
「!…随分とご機嫌だね?」
「あ?別にご機嫌じゃねぇよ」
こっちを見て楽しそうに笑っているアヤトくんに話しかければ何故か怒られた。
「あ、もしかして私と同じ教室で授業受けられて、アヤトくん本当は嬉しいとか?」
「は?ンなわけねーだろ。調子に乗んな」
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