第5章 変化する気持ち
「うん、すこく面白いんだよ」
「んなのいつでもできんだろ!いいからオレに付き合え!」
「…でも制服のままじゃ補導されちゃうかも。一旦家に帰って…」
「ククッ、そのへんは抜かりねぇよ。ほら。」
「え?」
「それに着替えて、校門集合な」
「え、ちょっと、アヤトくん!?」
毎日のように教室に迎えに来るアヤトくんは私の都合などお構い無しだ。彼は私に紙袋だけを押し付け、先に校門に行ってしまう。
「(とりあえず着替えて行くしかないのかな…って言うか、アヤトくん、女物の服なんてどうやって用意したんだろ?)
不思議に思いながら紙袋の中身を確認する。
「…ええっ!?こ、これって…」
◇◆◇
【繁華街】
「あ、アヤトくん。もう帰ろうよ」
「なんだよ、まだ来たばっかりだろ?」
「そ、そうだけど…じゃあ、さっさと用事済ませて…」
「用事なんてねぇよ」
「え?」
「まぁ、強いて言えば…散歩?」
「!」
そこでようやく私は気付く。
「(は、ハメられた…。うぅ…悪戯にまんまと引っかかるなんて…)」
私はスカートの裾を下に引っ張る。
「(み、短すぎる…!スカートの丈…!すれ違った人達がジロジロ見てるよ…!)」
恥ずかしくてアヤトくんの側に寄る。
「お、なんだよ、オマエからくっついて来るなんてさ」
「だ、だって…このスカート丈が短…」
「あー、なんかアッチの店、面白そーだなぁー」
「うわあああ!待って、待ってアヤトくん!離れないでー!」
「プッ、『うわあああ』だって。ダッセー。オマエのそういう顔見ると気分がいい」
「(いじめっ子…!)」
「ククッ、オマエもようやくオレなしじゃいられねぇって気付いたか?」
「違うよっ!もう、誰のせいだと思ってるのっ」
ちょっと動くと見えちゃいそうだよ…!
「なんだよ。隠れんなよ」
「あ……!」
「ほら、今日だけはオレの前を歩くの許可してやるぜ?」
「(う、後ろから肩掴まれた…。これじゃ隠れられないよ。)」
「おっと、手で隠すのもなしな」
「も、もう!アヤトく…」
「いいじゃん。見せびらかしてやれよ」
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