第5章 変化する気持ち
「アヤトくん…」
笑ってるのに…
どこか寂しそう…
空虚な感じ
「(そんな顔、しないで…)」
私はアヤトくんを抱きしめ返す。
「…………!」
「(なんだかいつもより…頼りなく見える。大丈夫だよ。私がいるよ。)」
悲しくなって、すんっと鼻を鳴らす。
「メグル……」
「え……あっ、ん……っ」
「もう、どうなっても…しらねぇからな…んっ…」
チュッと唇に触れるだけのキスを落とす。
「アヤトくん…」
「……………」
アヤトくんは黙りしたまま、ギュッと私を抱きしめる。
「オレのこと…怖いんじゃなかったのかよ」
「うん…ちょっと怖いよ」
「…じゃあ何で、傍にいたがる?」
「アヤトくんが寂しそうだから」
「……………」
「だからこうやって抱きしめるの」
「…泣いてんじゃねーよ、バーカ。」
「誰のせいで泣いたと思ってるの…」
「なんだよ、オレ様のせいだって言うのかよ?」
「完全にアヤトくんのせい」
「すぐ泣くオマエが悪ぃ。顔、涙でぐちゃぐちゃじゃねーか」
「アヤトくんが泣かせたんだよ」
「そーだなァ。オレの手で泣かされるオマエ、すっげぇいいな。泣き顔は相変わらずブスだけど」
「酷い…」
アヤトくんはククッと笑って、目に溜まった涙を優しく拭ってくれた。
「(さっきまで様子がおかしかったのに…急に優しくされると調子狂う…)」
痛くない力加減でふにふにと頬を摘まれながら、私は複雑な気持ちを浮かべるのだった。
◇◆◇
【学校】
「んー、今日も終わったあ」
ぐぐっと腕を上げて伸びをする。
「さてと…最近サボりがちなスマホゲームを少しやろうかな」
「メグル!」
「アヤトくん」
携帯を出そうとしたところでアヤトくんが教室へとやって来た。
「寄り道して帰んぞ」
「え?また唐突な…。どこ行くの?」
「あー、そーだなぁ。繁華街とかか?人混みがいい」
「(どうしたんだろ?珍しい。)」
「別に用もねぇんだろ?」
「あ…これからスマホでゲームをしようかと…」
「はぁ?スマホゲームだぁ?」
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