第5章 変化する気持ち
「────っ!」
悪夢に魘されたアヤトは目を覚ます。
「……はぁっ、はぁっ」
呼吸は乱れ、額には汗が流れていた。
◇◆◇
【自室】
「はぁ…目が覚めちゃった」
何か嫌な夢を見ていた気がする
でも……よく覚えてない
「…アヤトくん、大丈夫かな」
『力を寄越さねぇならさ…無理やりにでもオレのものにしちまおうか?』
「(…あの後も血を吸われて…気を失った。正直、身体まで奪われるのかと覚悟してたけど…どうやら血だけで治まってくれたみたい。)」
吸血された首筋を擦る。
「…水でも飲んで…」
ガシャァァン!!
「え……?な、何!?」
物凄い音が扉の外から聞こえ、私は部屋を慌てて飛び出す。向かった先はキッチンだった。急いで行くとそこには…。
「うぁぁぁああーーっ!!」
「っ………!」
「クソッ!なんだってんだ、っコノ!!」
割れた食器が床に散乱し、棚に置いてある物も倒れ、キッチンは酷い有り様だった。
「や、やめてっ!アヤトくん!!」
暴れるアヤトくんに抱き着く。
「っ………!?」
「手、怪我してるよ…!」
「……っ……」
「すぐに怪我の手当てしないと…!」
ポタポタと滴り落ちる血を止めようと、救急箱を探そうとするが…
「え……!?」
「…くそっ…」
「あ……!アヤトくん!?」
押さえつける腕の力が…
いつもより、強い…!
「……はぁっ、は……っ!」
鋭い牙が皮膚を突き破る。
「いたっ、痛い!!痛いってば!!」
「……っ……はぁ、っ。んん……っ」
「いっ……放して……!」
あまりの痛みに涙が溢れる。
「(やっぱりいつものアヤトくんじゃ…ない。加減のない、吸血……っ。)」
「ん……っ、はぁ……」
「うぅ……痛い……やめて……」
「そうだ…無理やりコイツを犯して…力を奪っちまえば…」
「アヤトくん…?」
「全てを超えてやる。アイツを…殺して。」
「(全てを超える…?殺す?どういう意味?アイツって、誰?)」
「覚悟しとけよ。まだまだ、こんなもんじゃねえぜ?」
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