第4章 神の御遣い
「別に。オマエが気にするようなことじゃねぇっつーの」
「アヤトくん…」
「心配するくれぇならさ…」
ベッドの軋む音がし、アヤトくんが私の上に覆い被さる。
「血、寄越せよ。そしたら多分元気になんぜ?」
「……………」
近くで見ると額にうっすら汗が滲んでる…
やっぱり怖い夢でも見たのかな?
「…いいよ」
「あ?」
「本当は嫌だけど…私の血を飲んでアヤトくんが元気になるなら…今日はいいよ」
そう言って私は首筋を差し出す。
「オマエ…バッカじゃねぇの?」
「バカって…自分から血寄越せって言ったくせに…」
「差し出された血飲んでもな。やっぱ血もらうなら、嫌がる表情見ながらじゃねぇと」
「うーん…じゃあ、嫌がる芝居しようか?」
「………。ぷっ、アッハッハッハ!オマエ、ソレマジで言ってんのかよ!」
「何も笑わなくても…」
「オレのこと嫌いで、血を吸われるのも嫌なくせに…今日は許してくれんだな?」
「アヤトくん…」
「……………」
「………んっ」
「んっ……チュ。」
じっとこちらを見つめるアヤトくんがゆっくりと顔を近付け、優しい口付けを落とす。
「またそうやって…」
「ホント…バカだな、オマエ。」
そう切なげに言うとアヤトくんはまた唇を重ねた。痛くない、強引じゃない、ただ優しく、気持ちいいキス。
「ん……」
「はぁっ……んっ……ちゅっ。」
「(あぁ、優しい…)」
そして唇を放してアヤトくんが言う。
「オマエ、やっぱ最高だわ。……んっ……」
「…………!」
「はぁっ……っ……」
首筋に牙を立ててアヤトくんは血を吸う。
「んっ、オマエの血が…オレの身体に流れて…すげ、みなぎってくる。ん……っ……そうか。チチナシの血とオマエの力があれば…オレは最強で…一番でいられる」
「え、一番…?それに今、私の力って…あ!」
「……っ……んんっ」
「あ…!あ、アヤトくん…!そんなに…吸われたら…」
一瞬で、ぞっと背筋を凍らせた。私はアヤトくんの牙から逃れるように手足をバタつかせる。
「ククッ、ナーニ今更暴れてんだよ?オマエから差し出して来たんだろ?」
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