第4章 神の御遣い
「なんだよ、こぼしたの、キレイにしてやってんだろ?ほら、この胸の谷間にも…んっ…」
「ひゃあ!?」
「チュッ…ククッ、今イイ声出たな。舐めたくらいで感じてんじゃねぇよ」
「(た、谷間に舌入れて…な、舐め…!)」
「はぁ、あっま。オマエの血の甘さはイイけどコイツはイマイチだな」
「な…な…何し…っ」
「口直し…と。……んっ……」
「い、いやっ…!」
「んっ…ククッ、やっぱこの味だな。そんな飲みもんより、よっぽど美味いぜ?ん……っ」
「あっ…んっ!」
「あーほんとイイ声。腰にクる…。胸も弱いんだな。こうやって吸うと…」
「あ!や、アヤトくん…!」
「ビクッてした。耳だけかと思ったら胸も弱ぇとか、感度よすぎだろオマエ」
「せっかく…星を見てたのに…っ!」
「あ?星?そんなもんよりこっちに集中しろ。オマエの感じる顔、オレにちゃんと見せろよ」
「う…あっ…!」
「んっ…チュ…はぁ…っ…」
ギュッと私を抱きしめて胸に顔を埋め、血を啜るアヤトくんの背中を必死に掴む。
「そうやって抱き着いてろ。はっ……んっ」
「んんっ…やぁ…っ」
「っ…その声もイイな。ぞくっとした。もっと出せよ。そんでオレに溺れちまえ」
「い…悪戯の度が超えてる…っ」
「ああ?」
「もうばか!アヤトくんのばか!」
「ンだと!」
「血ばっか吸わないでよ…っ!」
「オマエの価値なんてそれぐらいだろうが」
「っ……!!」
アヤトくんが言った言葉にショックを受けた。私の価値は血だけらしい。確かに私の血はヴァンパイア達にとっては美味しいのだろう。でも血だけの価値しかないと言われると…なかなか心に突き刺すものがある。
「…おい?どうした?」
「…なんでもない」
「なら泣きそうになってんじゃねぇよ」
悲しくなって泣きそうな顔をしてるとアヤトくんが私の瞼の上にキスをくれる。
「好きだろ、キスされんの」
「(さっきまで無理やり血を吸ってたのに、こういう時は優しい…)」
「ハッ、ブッサイクな顔だな」
「(…前言撤回。やっぱり優しくない。)」
私は笑うアヤトくんを恨めしげに睨んだ。
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