第4章 神の御遣い
【バルコニー】
「はぁ、気持ちいい風…」
お風呂上がりにキッチンでココアを入れ、バルコニーへとやって来た。空を見上げると綺麗な星空があり、私はココアがなくなるまで星を眺めることにした。
ガシッ
「………!」
「こんなところにいやがったか」
「あ、アヤトくん…!」
ギクリと身体が跳ねた。
「ん…なんか甘い匂いがする」
「あ…こ、ココア淹れたから」
「ふぅん?うまいの、ソレ?」
「(わ、耳元で囁かないで…!)」
「おっと…」
私はくすぐったさを覚え、それから逃れるようにアヤトくんと向き合う。
「の、飲んでみる?一口だけ、はい」
「…………」
「(あれ?カップ受け取ってくれない。いらないのかな?)」
両手でカップを差し出すもアヤトくんは受け取らなかった。
「そんなことよりさぁ」
「え?」
「オレは…こっちを味わいてぇんだけど?」
「きゃっ…!」
カップを受け取ったアヤトくんがココアを私の服に掛けた。せっかくの服が茶色い染みを作り、ショックな顔を浮かべる。
「あー、わり。手がすべった。ククッ、服に掛かっちまったな」
「ぜ、絶対わざと…!」
「脱げよ」
「え……!?」
「シミんなるぜ?いいのかよ?」
「じゃあアヤトくん向こう行って…!」
「バーカ。今更恥じらってんじゃねぇよ」
「は、恥じらってない…!」
「ここで脱げ。オレ様の目の前で、今すぐにだ」
「そんなの…」
「全部見せてみろ」
「や…やだってば…」
「やじゃねぇ!」
「あ……!」
アヤトくんに身体を掴まれる。
「ったく、ぐずぐずすんじゃねぇよ」
「ま、待って…アヤトくん…」
「脱げねぇなら…オレがやってやろうか?」
「や……!」
服をビリッと破いたアヤトくんに涙が浮かぶ。
「ヤダッ…!」
「あーあ、大人しく言うこと聞いてれば、服無駄にすることもなかったのになぁ?」
「や、やめて、アヤトくん!」
「あー、甘ったるい。血の匂いに…余計な匂いが混ざってる…。……ん……」
「あぁ…!や、やだ……っ」
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