第22章 唯一望んだもの(❤︎)
「(最近は落ち着いてたのに、何でこのタイミングで…っ。痛い…息が苦しい…っ。)」
ギュッと目を瞑って痛みがひくのを待つ。見知らぬ誰かに掛けられた強力な呪い。愛する者と共に永遠の愛を手に入れないと、私の身体は呪いに蝕まれて、やがて死を迎える。
「(せっかく幸せな一時を感じていたいのに…コレのせいで嫌でも現実に引き戻される。)」
呪いなんて大嫌い───。
「(ライトくんに気付かれる前にどうにか…)」
痛みに堪えながら必死にどうすれば良いのかを考える。するとベッドがギシッと沈んだ。
「お花ちゃん」
「!」
「胸が痛いんだね」
閉じていた瞼を押し上げると、真剣な表情で私を見下ろすライトくんがいた。
「…ライトくん」
「確か屋上で初めて君の血を吸った時も凄く痛そうにしてたね。何かの病気なの?」
「私…呪われて、るの…」
「呪われてるだって?」
「胸が痛い、のも…心臓に…死の刻印が…呪符されて、いて…運命の人を見つけて…永遠の愛を…手に入れないと…私、死んじゃうの…」
「ひとまず話は分かったよ。それで…今お花ちゃんはその呪いによって苦しめられてるわけだけど…」
「ライト、くん…」
「こういう時はどうするのが正解なのか、君は知ってるよね?」
その"正解"を既に知っているライトくんは、薄ら笑いを浮かべている。
「それ、は…」
「ボクは君の"正解"に応えるよ」
「……………」
苦しげに眉を顰め、ズクズクと痛む胸を手で押さえながら、目に涙を滲ませてライトくんを見上げる。
「ライトくん…助けて」
「んふっ、正解❤︎」
言葉通り、私の正解に応えてくれたライトくんは、チュッと唇を重ね合わせ、ねっとりと自分の舌を私の舌と絡ませる。
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