第22章 唯一望んだもの(❤︎)
「…どうやら、死んではいなかったみたいだな。はあ……」
ドクンッ
「(あれ……)」
シュウさんを見た途端、胸の動悸が激しくなった。
「………っ!」
「馬鹿馬鹿しい。付き合ってられない。だるい…部屋戻って寝るか…」
「(シュウさん…?)」
ドクンッ
「(私、どうしたんだろう。また胸がドキドキして…)」
「俺は部屋に戻る。後は勝手にしろ」
あ、シュウさん行っちゃった
「……………」
シュウさんが出て行ったドアをじっと見つめる。
「……?どうしたんだよ、地味子。シュウの野郎が気になんのか?」
「えっ!?そ、そんなことないよ…?」
「そのわりには、シュウのことを目で追っているようですが…」
「(……?私、なんで……)」
再びドアに目を向ける。
「今もシュウのいなくなった方を見つめていますね」
「まさか、シュウのヤツに惚れちまったんじゃねえか?」
「……………」
そんな様子を険しい表情でライトくんは見ていた。
◇◆◇
【廊下】
「ねえ、これ一体どういうこと?」
「なんですか、人を突然引っ張ってこんなところに連れてきた挙句、その形相と剣幕は」
「レイジならわかると思ったの!お花ちゃんはどうなっちゃったわけ?」
「ふん…どうやら、この説明書に書いてある文章を読む限り、薬の効果は出ているようですね」
「でも、飲ませたのはボクなのに…」
「ええ。ですから、シュウ相手に効果が出ていると言ったのです」
「そんな…どうして、シュウなの?」
「ライト…貴方、使用方法をよく読まなかったでしょう?」
レイジは呆れて溜息を吐く。
「『飲ませた相手に恋の錯覚を起こす薬』『服用後、個人差はありますが5秒~30秒後に激しい動悸が起こり意識がなくなる場合があります』」
読んだ説明書をそのままライトに説明する。
「『2分~3分後に動悸が治まると、その後、一番初めに顔を認識した相手に対して錯覚を起こします』」
「じゃあアヤトくんが言ったようにあの子は本当にシュウを…」
「…そういうことですね」
「………ッ!ククッ……あはははっ、なるほどねぇ……」
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