第22章 唯一望んだもの(❤︎)
「え?ごめんごめん。今日はちょっと準備があったんだ。んふ。さあ、早くこっちに座ってよ」
「えっ、なに?」
「たまにはキミと優雅にお茶でもしようかなって思ってさ?さあ、どうぞ」
ソファに座ると温かなお茶が出される。
「(珍しい、ライトくんがお茶を淹れてくれるなんて…)」
チラリと不安げにライトくんを見た。
「どうしたの?早く飲まないと冷めちゃうよ?」
「ええと…じゃあ、いただきます」
ティーカップに口をつけてお茶を飲む。
「……くくっ」
「…………?」
「お花ちゃん、ちゃんと飲んだ?」
「う、うん…飲んだよ…?」
ドクンッ
「っ………!」
急に胸が激しく脈打った。
「ねーえ、お花ちゃん。なんだか胸がドキドキしない?」
「する、けど…」
でもドキドキじゃなくて
なんだか苦しい……っ
「う、ぐ……」
いつもの胸の痛みじゃない…っ
ドクンッ
「(だめだ、倒れる…!)」
そしてそのままドサッと倒れた。
「あ、あれぇ!?お花ちゃん!?」
「あ?なんだよ。死んじまったのか?こいつ」
「面白い実験をするというから待ってたのに。失敗したの?ふふ、バカみたいだね。テディ」
「!」
するとリビングのドアが開き、帰宅したレイジを見てライトは慌てたように呼びつけた。
「ちょっと!レイジ、こっち来て!」
「なんです、帰るなり藪から棒に。皆揃ってなにを…」
「なんとかしてよ…!この薬を飲ませたら…」
「…薬?その怪しい容器ですか?」
「………っ!メグルちゃんが……」
「この子…どうなっちゃうの?まさか本当に…死んじゃうんですか?」
カナトは笑みを称えて愉しげに言う。
「うっざ!くだらねぇ…んだよ、この茶番は…チッ」
スバルは近くにあった物を蹴り飛ばす。
「ああもう、こんなはずじゃ…」
ライトは心配そうにメグルに触れる。
「お花ちゃん!お花ちゃん…?目を覚ましてよ…!」
「ん……?」
夢の中でライトくんの声が聞こえ、閉じていた瞼を押し上げる。どうやら一瞬気を失ってたみたいだ。
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