第22章 唯一望んだもの(❤︎)
「みんなだってとっくに気付いてるでしょ?この子の血が普通じゃないってことくらいはさ」
ライトくんの言葉に全員が反応する。
「特別な血を持つビッチちゃんとはまた違った甘い匂い…。そうまるで…完熟された果実のような血の匂い。んふっ…そんな血の味だったら一度くらいは飲んでみたいよね?」
「の、飲んでみたいって…」
私は驚いてライトくんを見上げる。
「どうしてもって言うなら…貸してあげるぐらい、別にいいかなぁ?」
「!!」
貸してあげるって…どういうこと!?
教会で愛を誓ってからは、そういうこと全然言わなかったのに…!
「たまには、キミがほかの誰かに血を吸われてるところを見るってのも…刺激的で面白そうかな、なんて思ってさ。んふっ」
「ひどい!そんなの絶対に嫌だよ!!」
モノ扱いされ、怒りが込み上げる。ライトくんを振り払おうとするが、腕を掴まれているせいで、それは叶わなかった。
「あはは♪冗談だってば。もう、そんな本気で怒らなくてもいいのに」
「怒るに決まってるでしょ!」
ライトくんが言うと全然冗談に聞こえず、今言ったことも本気なんじゃないかと疑ってしまう。
「ごめんごめん♪ちょっとした意地悪じゃない。せっかくの可愛い顔が怒り顔で台無しだよ?」
「余計なお世話だよ!!しかも全然反省してないじゃない!」
あまりにもショックで、ライトくんに怒りをぶつけるも、軽いノリで謝る本人は反省する素振りなど一切見せず、余計な一言で更に私の怒りは増す。
「ハッ…まったく、勘違いも甚だしい。確かに彼女の血は特別ですが、誰が貴方の噛み跡だらけの女など」
「(鼻で笑われた…!)」
「…付き合ってられないな」
シュウさんは心底呆れ返った顔で言った。
「チッ…」
「あーシラケた。行こうぜ」
気分を悪くしたみんなが去って行った。
「はあ…こっちだって、すっかり興ざめだよねぇ。んふ。せっかく盛り上がってきたところに水を差したのは向こうなのにさ。ひどいよね、メグルちゃん。」
「………………」
「ん?なあに、メグルちゃんったら、まだいじけているの?」
「いじけてません!」
「じゃあ怒ってる?」
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