第20章 壊れ始める恐怖
『アンタは呪いによって死ぬのよ!特別な者には出逢えず、永遠の愛も手に入れられずに、堕天するの!』
『っ…………』
『本気でアンタを愛してくれる奴なんていないわ──!!』
彼女の声が耳の奥まで纏わり付く。いつまでもいつまでも…。それを振り払うように目を瞑り、首を振った。
『まぁそれまで…呪いに怯えて過ごすことね───』
その言葉を最後に意識が遠退き、視界が暗闇で染まる。まるで落とし穴に落ちているかのような感覚。閉じかけた目が捉えたのは…彼と同じ瞳で笑う、コーデリアの顔だった。
◇◆◇
【リビング】
「っ!!」
目が醒めた私は咄嗟に飛び起きる。
「ゆ、め?」
最近疲れが溜まっていたせいか、リビングのソファでうたた寝をしてしまったようだ。
「どうしたの、お花ちゃん。汗びっしょり。悪い夢でも見たのかな?」
「ライト…くん」
「んふ?様子が変だね。どうかした?」
「コーデリアって…知ってる?」
「っ……!?なんで、その名前を」
「っ…………」
ライトくんの顔つきが恐くなる。
「(やっぱり…ライトくんはコーデリアのこと…)」
「おい!」
「み、見かけたから」
「見かけた…?」
「(“会った”って言った方が正しいけど…)」
「どこで!?」
「っ………!?」
ゾッとするほど怖い目を向けられ、ビクッと身体を跳ねさせる。
「どこで見た!?」
「い、痛い…っ!そんなに、肩…掴まないで…!」
ガッと肩を強く掴まれ、顔をしかめる。
「騒々しいですね。何喧嘩なんてしてるんですか?焼き払いますよ」
「っ…カナトくん…なんだい?」
「──コーデリアだったら、僕の、僕らの母です。魔王ブライの娘にして、ヴァンパイアの血も引く女性」
「(夢の中と同じこと言ってる…)」
「もう死んでますけど」
「っ…余計なことは言わなくていいよ」
「何かバラされてまずいことでもあるんですか?例えば、コーデリアを殺したのは…僕ら…だとか?」
「え……!?」
「……………」
「別に、ただそれだけのことですよ。大したことじゃない」
そう言い、カナトくんは去って行った。
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