第20章 壊れ始める恐怖
【自室】
「(どうしたらいいんだろう…)」
いくら母様の血を受け継いでるからって言っても、ヴァンパイアに覚醒しないとは言い切れない。この身体は呪いに冒され、血はライトくんと交わったことで、既に別のモノになってる。
「(完全にヴァンパイアとして生まれ変わったら…天使の力を失って…天界にも二度と帰れなくなっちゃう。)」
ドクンッ
「っ…苦しい…」
「──それはキミに後ろ暗いことがあるせい、なのかな?」
「っ!ライトくん…!」
「んふ。どうしたのそんなに驚いて。ボクが突然現れるのなんて、いつものことでしょ?」
「っ…………」
「それより、お花ちゃん。ボクに黙って、アイツとナニしてたの」
「え?アイツ…?」
「アイツはアイツだよ。あのいけ好かないメガネ」
「レイジさん?ああ、だったら少しお喋りをして…お茶を…」
「んふ。浮気か」
「っ!?お、お茶してただけだってば…!」
「ホントはナニされたの?ウソは良くないからね?」
「っ………!」
ウソなんかついてないのに!
でも…ライトくんに何を言っても、どうせ信じてもらえないんだろうな
「ふーん。だんまり?それってつまりは浮気しましたってことを認めるってことだよね?」
「それは違うよ!」
「怪しいなあ…」
「──そもそも…ライトくんだって…」
「ん?」
「ライトくんだって、私だけじゃないじゃない」
「んふ。どういうこと?あの人のことを言ってるの?」
「っ……それも、ある。それに、この間ユイちゃんにだって…」
「それはちゃんと約束したでしょ。もうお花ちゃん以外の血は吸わないし、お花ちゃんしか好きにならないって。」
「……………」
「それでキミもボクを許した。ボクを信じてくれるって約束してくれたから」
「…そこは、一応信じてるよ」
「んふ。その割に眉を顰めて不機嫌そうな顔だね。でも嫉妬むき出しって感じが出てて悪くない。ただ、もうちょっと刺々しい感じがあるとなおいいな」
「(なぜか批評されてしまった…)」
「今日も好きだよ、お花ちゃん」
「(私は…"好き"なんだよな。)」
あの人のことは"愛してる"なのに
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