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終わらない愛があるとしたら【ドS吸血鬼】

第20章 壊れ始める恐怖



「…何ですか、その呆けた顔は」



「す、すみません…」



「まさか貴女のような女性が天使だとは。驚きしましたが…ちゃんと人の形をしているのですね」



「……………」



「貴女はライトと出会ったことで"関わり"を持ってしまった」



私は表情を曇らせる。レイジさんは気にせず、会話を続ける。



「そしてライトが吸血する度に、身体中を巡る高潔な血は穢れ、血そのものを変化させてしまった。貴女の身体は既に天使ではなくなってきているということです」



「!」



心臓がギクリと嫌な鳴り方をした。



「…レイジさんはどこで知ったんです」



「それは貴女の正体を…ということですか」



「はい」



「幼い頃、父上の書斎にあった本を見つけて、それで天使の存在を知ったのです。下界や魔界の他に"天界"という場所が在り、神の御使と呼ばれた天使たちが暮らしていると…そう書かれていました」



レイジさんの目が鋭く私を見据え、体を硬直させる。



「ですが天使は天界から出てはいけない掟があるはずです。それにも関わらず貴女は下界で暮らしている。何か理由がおありで?」



「……………」



「まただんまりですか…。まぁ言いたくないなら言わなくて結構。」



「(呪いのことは言えない…)」



「ところで…天使の力を他人に分け与えることができるのは本当ですか?」



この人は、一体どこまで知っているのだろう。本に書かれた知識だけで、こんなに詳しく知ることができるのだろうか?



「…本当ですよ。まさかレイジさん、天使の力が欲しいとか…思ってませんよね?」



「さあ、どうでしょう」



「(…はぐらかされた。)」



「私の知る秘密は全て話しました。お茶を淹れましたから、飲むといい。」



「いただきます」



考えないようにしていた。もうこの身体と血はヴァンパイアと交ざったことで穢れた。あれほどキツく母様に言われていたのに…。



「(死ぬわけにはいかない。だって…私はまだ幸せを掴めていないもの。)」



絶対に呪いを解いて、私を本気で愛してくれる人と幸せになってみせる。呪いなんかに殺されてたまるか。



「(…紅茶、美味しい。)」



じんわりと心が温かくなった。



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