第2章 悪戯好きのトラブルメーカー(√)
「…見れば分かるでしょ。今日出た課題」
「げっ、マジかよ!?…あーそういやチチナシもなんかやってたな。あれ、課題だったのか…」
「今回は量が多いから残って少しやっておこうと思って」
「こんなん真面目にやるヤツなんていねぇぜ!」
「やるのが普通なの!やらないアヤトくんの方が変わってるだけ!」
「ったく、家でやりゃあいいだろ。さっさと帰ろうぜ」
「家じゃ誰かさんに邪魔されてできないから、こうして学校でやってるんです」
「オレは腹減ってんだよ。さっさと帰って食わせろっ!」
そう言ってアヤトくんはやっている途中のノートを奪い取る。
「ちょっと!ノート返して!」
「やなこった。家に着いたら返してやるよ」
「家じゃ集中してできないの!」
「悔しかったら取り返してみろよ」
「もう!返してってば!」
「おっと!ハハ、全然届いてねーな。チビのくせにオレ様から奪い返せるわけねーだろ」
椅子から立ち上がり、ノートに手を伸ばすも、ひょいっとアヤトくんに躱される。
「(……もうっ!)」
かくなる上は…と私は廊下に目を向ける。
「…あ!廊下に巨乳の美少女が!」
「ナニ!?」
「隙あり!」
もちろんそんな巨乳の美少女などいるはずもなく、まんまと引っかかったアヤトくんからノートを奪い返すことに成功した。
「あ……!テメェ!」
「こんな手に引っかかるアヤトくんが悪いんでしょ!」
いつもはやられてばっかりなんだもん
たまには仕返ししてもいいよね?
私だって遊ばれっぱなしじゃないんだよ!
「このアヤト様をハメるとはいーい度胸してんじゃねぇか…」
「(う…怒ってる?でも、ここで怯んじゃダメだ!)」
なんだかやばい雰囲気を身に感じながらも、私はアヤトくんに言う。
「そ、そんな顔したって、アヤトくんなんて怖くないんだから!」
「へえ?言うな…」
「(っ!これは…まずいかも。)」
「なら…もっと気合い入れてビビらせてやんねーとなぁ」
「あ、あの…アヤトくん…」
ぐいっとアヤトくんに引き寄せられる。その瞬間、私は後悔した。目の前にいる彼を本気で怒らせてしまったのだと。
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