第19章 三つ子の母
「次から次へと…盛り上がってきて…追いつかない…んっ…」
「(嘘つき…私のことが好きなくせに…愛してるくせに…ユイちゃんにキスしてるじゃない。)」
あぁ そっか
それも、私の自惚れか
「(きっと心のどこかで、ライトくんは私以外を好きにならないって自信があったんだ。やっぱり…ライトくんは本気で私のことなんか、好きでも何でもなかったんだ。)」
自惚れも大概にしないと、結局は傷付いて泣く羽目になるんだから。
「(部屋に戻ろう…)」
余程ショックが大きいのか、頭が回らない。少し自分を落ち着かせて冷静にならないと。ライトくんはそういう人だって前から知ってたでしょ。だから気にしない…。
「……………」
部屋に戻ってきた私は、そのままベッドの上に座り込む。
「独りにしないって言ったのに…」
ライトくんは本当に嘘ばかり
「(呪いを解いてくれる相手はまだ現れない。もしこのまま呪いが解けなかったら…)」
死の恐怖を感じ、震える身体を抱き竦める。
「怖い…死にたくない…まだ幸せにもなってないのに…普通に生きたいよ…っ」
その想いが叶うかは分からない。でももし、彼女の言う通り、私の心臓が壊れ始めてるのだとしたら…死期が近いのだろう。
「怖い…誰か…私を助けて…っ」
コンコンッ
「お花ちゃん、いる?ボクだけど」
「っ!」
ライトくん!?
「(大丈夫。部屋には鍵を掛けてるし、入って来られない。居留守を使おう…今はライトくんに会いたくない…)」
「──鍵を掛けて追い返そうとしても、無駄だってこと、知ってるでしょ?」
「っ………!?」
部屋の外にいるはずのライトくんの声が耳元で聞こえ、驚いて後ろを振り返った。
「んふ、驚かせちゃったかな。こんなのヴァンパイアにとっては簡単なんだよ…って、お花ちゃん、泣いてるの?」
どうやって部屋の中に!?とも驚いたが、そう言えば最初の頃、気づいたらライトくんが部屋の中にいて驚いたことがあったのを思い出した。
「ボクが慰めてあげようか」
「っ、来ないで!!」
いつもの調子で私に近付こうとするライトくんを声を張り上げて拒絶する。
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