第2章 悪戯好きのトラブルメーカー(√)
「ひ、ひどい…!本当に怖かったんだから!」
「半べそかくほど怖かったのか」
「当たり前でしょ!?だいたいアヤトくんはいつも…」
そう文句を言おうと思って立ち上がろうとする。
「(う…立てない。か、完全に腰が抜けて…)」
「オマエ…もしかして…腰抜かしてんの?」
「うぅ…」
「アッハッハッ!やっぱオマエ最高だぜ!予想以上のリアクションだな!」
「アヤトくんが驚かせるからだよ!!人を呼びつけておいて悪戯するのやめてよね!!」
「あー、ヤベ。ツボった…クククッ」
「(ぐぅ!またしてやられた!悔しい…!!)」
「ククッ、立てねぇんなら好都合だ」
「え…?」
「このまま、オマエをここの蝋人形のひとつに加えてやるよ」
「な…何、それ?」
「ナニって、ローソクだろ?」
「ど、どうするつもりなの!?」
「もちろん、こうするんだっつーの」
「や…!ちょ、ちょっと!」
溶けた蝋が床に飛んだ。
「あ、危ないでしょ!こんなのかかったら…」
「チッ、外したか」
「………っ!」
もしかして…
本気で私にかけるつもりだったの!?
「ほら、大人しくしろって。熱いのは最初だけだぜ?すぐクせんなってくる。ククッ」
「じょ…冗談やめてよ、アヤトくん。」
「クククッ」
「や、やめてってば…!」
「ほんとすぐ泣くのなオマエ」
「どうしてこんなことするの!?」
「どーしてだぁ?あー…そうだな…。ああ、アレだ。マイムーブってヤツ?」
「それ…マイブームだと思う」
「そうだったか?ま、細かいことは気にすんなって」
「蝋人形を作るのがマイブームだって言うの!?」
「ハッ、違ぇよ」
「じゃあ…きゃ…!」
またアヤトくんはポタッと蝋を私に向かって垂らそうとする。完全に怖くなった私は地面に座り込んだまま、ズルズルと後ろに下がる。
「オマエのその嫌がる声」
「こ、来ないで!」
「ククッ、それから、震えて怯えるその顔」
「アヤトくん!その手に持ってるものを今すぐ捨てて…!」
「あぁ、泣くところもいいな。簡単に涙が溢れて自分じゃどう頑張っても止められないってところが」
.