第18章 お似合いのカップル
「ダ…メ…」
「んー?何がダメなの?」
「…行っちゃ、ダメ…」
「じゃあお花ちゃんがやってくれるの?」
「や、やる…」
「何を?」
ライトくんは愉しげに言う。
「首輪とか…血も…その…舐めていいから…」
「…ふ〜ん。さっきは、イヤだって言ったじゃない」
「気が…変わったの…」
「んふ。そうなんだ…分かったよ。じゃあ、やっぱりキミにしよう」
くるりとこちらに向く。
「(ライトくんが他の子を代わりにしようとした時、すごく悲しい気持ちになった。認めたくない…ライトくんに絆されつつあるなんて…。)」
「ね、お花ちゃん。ひとつだけ教えてよ」
「っ………?」
「気が変わった理由。それは、あの子を助けたいからなの?それとも…ボクをあの子に盗られるのが、イヤだったのかな?んふ」
「(この感覚を知っている。前にも同じような気持ちになったことがある。これは…紛れもない、嫉妬だ。)」
「お花ちゃん?」
「決まってるじゃない…あの子を…助けたいから…」
「んふ、そうなんだ。」
「…………」
「ウソツキ」
ライトくんは含み笑いを見せる。
「本当は嫉妬したくせに」
「!」
「それを隠そうとするなんて、イケナイ子だなあ…お花ちゃんは」
「(見透かされてる…)」
すると手錠が外される。
「え?」
「何驚いた顔してるの。もしかしてまだ繋がれていたかったとか?」
私は必死で首を振った。
「どうして…外してくれたの?」
「嫉妬深いお花ちゃんが見れたからね。今日はこの辺でおまわりさんゴッコはやめて、ケーキ屋にでも行こうと思って」
「ケーキ屋?」
「お花ちゃんがものすごーくショックな顔して落ち込んでたから、マカロンでも買って帰ろうかなって」
「!」
「でもお花ちゃんがボクと買いに行くのがイヤって言うなら無理強いはしないけど」
「い、行くっ!」
「んふ、決まりだね。じゃあ、手、繋ごっか」
差し出されたライトくんの手を何の違和感もなく握る。
「!」
それに微かな驚きを見せたライトくんだが、何も言わずに眉を下げ、軽く笑う。そうして二人でケーキ屋に向かった。
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