第18章 お似合いのカップル
「うん、いいよ…もっと、してあげるね。んっ……」
「だ、から…違うって言って…」
「もっともっと、ボクに夢中になりなよ。ボクのことしか考えられなくなって、ボク無しじゃ生きていけない身体になって…ボクだけしか、好きになれなくなればいい」
「(呪いだ…ライトくんの言葉は…)」
「──そうしたら、もっとキミのこと、愛してあげるから、さ」
「ライト…くん…」
「そう、もっと差し出して。次はどこに欲しい?言ってみて」
「(こんなの…私が欲しい愛じゃない…)」
ライトくんが求めてるのは私じゃない。愛してるのは私じゃない。好きだと言われてたって、それが安い愛の言葉に聞こえる。
「(嘘つき…)」
「お花ちゃん?」
「(嘘つき、嘘つき…)」
何故か悲しくてポロポロと涙が溢れた。
「え…ちょっとお花ちゃん。何でいきなり泣いてるの?」
「…泣いてない」
「その言い訳はちょっと苦しいんじゃない?」
「(私、何で泣いてるの?ライトくんが私を見てくれないから?安い言葉で私を堕とそうとするから?それとも…ライトくんが、あの人より私を愛してくれないから?)」
私は自分の言葉に驚いて固まる。
「(私、今何を…。違う…ライトくんに愛なんか求めてない。ましてや…この人に、愛されたいなんて…思うはず、ない。)」
「お花ちゃん、泣いてちゃ分からないよ。そのドレス着るのやだった?」
「……………」
涙を流したまま、無言で首を横に振る。
「じゃあ、あの人に嫉妬した…?」
「!」
「んふ。嫉妬、したんだ」
「(嫉妬?この感情が…?)」
「あれ?よく分からないって顔だね。もしかして…誰かに嫉妬を覚えるのは初めて?」
「よく…分からない。胸が切なくて…痛くて…涙が止まらないの…」
「それが嫉妬さ。お花ちゃんはあの人にボクを盗られたくないんだ。でもボクはあの人ばかり求める。それが気に入らないんでしょ?」
「っ!そ、そんなわけ…!」
「キミはね、あの人に嫉妬しちゃうほど、ボクのことが大好きなのさ」
「……………」
私…ライトくんを他の人に盗られたくなくて嫉妬をしてるの?これが嫉妬なの?こんな醜くて、ドロドロしたものが…?
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