第18章 お似合いのカップル
「あれ?私…何してたんだっけ?」
「…大丈夫?」
「うん…大丈夫。少し疲れてるのかな。ごめんユイちゃん、先に部屋に戻るね」
私はユイちゃんといる事に何故か居心地さを覚え、申し訳なさそうに謝り、すぐに部屋に戻った。
◇◆◇
【自室】
「(ユイちゃんに会った途端に、胸の奥底から強烈な感情が湧き上がった。あれは、そう…激しい憎悪と嫌悪感だ。)」
友達なのに憎らしい程の嫌悪感。でも私がユイちゃんにそんな感情を抱くはずはない。だって今までは普通だった。それがどうして急に"彼女を殺したいほど憎い"と思ったんだろう…。
「どんどんおかしくなってる…。私が私じゃなくなっていくみたいで…怖い…」
コンコンッ
「お花ちゃん、いる?」
「げっ」
そういえばライトくんから逃げてたんだった。でも部屋の明かりがついてるし、きっと居留守は使えない。
「(仕方ない…)」
諦めてドアを開ける。
「良かった。部屋に戻ってたんだね」
「何か用?」
「んふ。何か用って、自分のモノに会いに来るのに、用がなくちゃならないのかな」
「私はライトくんのモノなんかじゃ…」
「モノだよ。まあいいさ、今はそんなことより、キミに見せたいものがあるんだ」
「見せたい、もの?」
「ほら見て」
「……ドレス!?」
「んふ。お花ちゃんのために仕立てたんだ。袖を通してみてよ」
「なんで?」
「特に意味はないよ。そういうの一着くらい持っててもいいんじゃないかなと思ってね──ほら、着て見せてよ」
「えぇ……」
ここで逆らっても、どうせライトくんの思い通りにさせられる。それならいっそ、素直に着た方が安全だと思い、純白のドレスに袖を通す。
「んふ、そうそう、可愛いよ、お花ちゃん」
「ライトくんに言われても全然嬉しくない」
「じゃあ誰に可愛いって言われたら嬉しいの?アヤトくん?」
「何でアヤトくんの名前が出るの。別に誰に言われても嬉しくないよ」
「可愛いのにねえ?」
「……………」
無視無視。
「──どう…?」
「やっぱりお花ちゃんは真っ白な色が似合うね。まるで…あの女を見てるようだよ」
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