第18章 お似合いのカップル
「もう充分過ぎるほどに待った。そろそろキミを追い堕としにかかることにしよう。身体のほうは、もう待ちきれないみたいだしね」
私は怯える瞳でライトくんを見た。
「──キミは本当にはしたない子だよ。お花ちゃん…」
「っ………!!」
怖くなった私はその場から逃げ出す。
◇◆◇
【廊下】
「(…どうすればいい?このままじゃ…本当に私、ヴァンパイアになっちゃう。ううん、その前に…呪いを解けずに壊れてしまう。)」
不安が押し寄せ、泣きそうな顔をする。
「(もしヴァンパイアとして生きることになったら、二度と天界には帰れない。誰も私を許さない。そうなれば本当に独りぼっちだ。母様…助けて。私、ライトくんに堕ちちゃう──!)」
「メグルちゃん?」
「っ………!」
「そんなに慌ててどうしたの?」
ライトくんから逃げる途中で、ユイちゃんに会った。彼女は不思議そうに私を見ている。
「顔色も悪いよ?大丈夫?」
「うん…平気。少し…夢見が悪くて…」
誤魔化すように笑い、ユイちゃんに歩み寄る。
「ユイちゃんはどこかに行くところだったの?」
「私は部屋に戻るところよ」
「そうだったんだ。あ、ねぇユイちゃん。ちょっと聞きたいことが…」
ドクンッ
「…メグルちゃん?」
話の途中で黙ってしまったメグルを不思議に思い、控えめに声を掛ける。
「───コーデリア…」
「え?」
「"そこにいた"のか」
メグルの瞳は光を無くしている。
「本当に"親子揃って"忌々しい。下等な魔族の分際でこの子の血を求めるな。ましてや逆巻ライトが…あの男と同じ血をひく者が、この子を好きなどと…吐き気がする」
「……………」
「お前の息子ではあの子の呪いは解けない。それに無理やり繋がりを求めてできた関係など…認めてたまるか。あの子の運命の相手は、決して逆巻ライトなどではない───!!」
ユイを通して誰かを見ているメグルの様子がおかしい事に気付き、彼女は強めにメグルの名前を呼ぶ。
「メグルちゃん!!」
「っ………?」
ハッとしたメグルの瞳に光が戻る。
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