第18章 お似合いのカップル
「ボクより先に殺せば、キミはボクから愛を奪うことになるからさ」
「……?全然、意味がわからない。というか、私のことを…その…好きって言ってるけど…“あの人”を愛してるんじゃないの?」
「なぁに、ヤキモチ妬いてるの?」
「…違うけど。その人を愛してるなら、私を好きだって言うライトくんの言葉は嘘だって思っただけ」
「嘘じゃないよ。キミが好きなのは本当さ。でも、"あの人"のことは憎くて憎くて愛しいんだ。」
「(そっか…だから私は"好き"なんだ…。)」
"好き"と"愛してる"の差なんて
天と地ほど重さが違いすぎる
「!」
私、ライトくんに何を求めて…?
「どうかした?」
「なんでもない…」
すぐにその思考を払い去る。
「愛しいモノはね…殺したくなるモノなんだよ。ボクらの世界ではさ」
「(なんだろう…胸がギュッてなる。この痛みは…何なの?まさか病気?)」
「だからね…お花ちゃんも…ボクを殺したければ殺してもいいよ。ほら、銀のナイフをあげる」
銀製のナイフを差し出される。
「これだったらボクを殺せるかもしれないよ?スバルのヤツもしょっちゅう弄ってる───きっとアイツも殺したい相手がいるんだろうねぇ」
「っ……!?わ、私は、ナイフなんかいらない」
「ボクを殺したくないの?愛してるのに?」
「愛してなんかいないし、殺さない!それに私は人間なの!ライトくん達とは違うから!」
「人間、ねえ。果たしてそれはどうかな」
「どういう意味?」
「言っただろ?ヴァンパイアと交われば交わるほどに、血を与えれば与えるほどに。人間も、それ以外の生き物も、その血に感化されていくのさ」
「!」
「それに、こうしてボクらと楽しく過ごせてる時点で、オマエはもはや人間とは言い難い存在になっている」
「私は楽しくなんか…!」
「そうなの?じゃあ、こうやって身体をいじられるだけで、興奮するようになってるのはなんだい?」
「っ………!?」
触れるライトくんから離れるように距離を取る。
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