第18章 お似合いのカップル
その女は視線を地面に向けながら歩いていたが、人の気配を感じると、ライトを見た。
『っ………!?』
あまりの美しさと不思議な雰囲気にライトは目を見開き、息を呑む。女は興味が無いようにライトから視線を外した。
『(氷のような…冷たい眼…。)』
以前コーデリアが忌々しいと罵っていたのを思い出す。その女がライトの横を通り過ぎた時、ふわりと嗅いだ事のない匂いがした。
『(…あぁこれか。あの人が嫌いだって言ってた匂いは。ボク達とは違う不思議な匂いだ。)』
振り返るも、既に女は何処かに消えていた。
『(何の為に屋敷に出入りしてる?まさか本当にアイツに会う為だけに…?でもそんな感じには見えなかったけど…)』
そこまで考えて、ライトは溜息を吐いた。
『ま、ボクには関係ないし、気にすることでもないか』
ライトも興味を失い、歩き出した。
◇◆◇
【リビング】
「──ん……また、か……最近、おかしいな。こんな夢ばかり見て…。それに…夢に出てきたあの女って…誰だ?───ねえ、お花ちゃん。」
「え?私に聞いてるの?」
「キミ以外誰がいるって言うのさ」
「……………」
「そういえば、お花ちゃんの匂いって…ちゃんと嗅いだことなかったよね?」
「ちょ、ちょっと…!」
近寄ってきたライトくんが私の匂いを嗅ぐ。私は咄嗟に身を引こうとしたが、既に遅い。
「この匂い…」
「っ………」
「そうだよ。この匂い…やっぱり…あの女の匂いだ」
「あ、あの女…?」
「昔、ボクらの家に頻繁に出入りしてる女がいたんだ。氷のような冷たい瞳をした女。匂いがとても不思議だった。そう…キミと同じ匂いがしてたよ」
「え……?」
「あの人が嫌う匂いだ」
「───あの人…。」
私はライトくんを見た。
「──それが、もしかして…ライトくんの憎くて憎くて愛しい人、なの?」
「んふ。それを知ってどうするの?殺す?」
「どうしてそうなるの?」
離れたライトくんがそう言うから、不思議に思って聞き返してみた。
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