第18章 お似合いのカップル
「あ、ボクが寝物語を聞かせてる間はずっとお花ちゃんを抱きしめさせてね」
「え!?」
「まぁ…聞かせ終わっても、離す気ないけど。んふ。」
「(…やっぱり断ろうかな。)」
嫌だと思いつつも、どんな寝物語を聞かせてくれるのだろうと楽しみにしている私がいた。
◇◆◇
【ライトの部屋】
『──っ……なんだ、アナタか。どうしたんだよ、いきなり』
突然部屋に入ってきたコーデリアに驚いたライトだが、彼女は怖い顔で気が立っていた。
『ライト…手を貸して頂戴。アイツを殺すわ』
『っ……?いきなりどうして?』
『もう、我慢ならないのよ。アタシのモノであるべきあの人が…思い通りにならないなんて』
『だから、殺すの?』
『ええ。殺すわ。そうしてアタシだけのモノにするの───愛しているから。』
コーデリアはそう言った。
『殺すということはヴァンパイアにとって最上級の愛の告白よ。永遠とも言える命を持つアタシたちにもたらされる終幕…それがどんなに甘美なモノか…ライトには、分かるわよね』
『んふ。もちろんさ。でも、それをボクが手助けしてもいいの?』
『ふふ、最終的なとどめはアタシが刺すわ。お願い、ねえ、ライト。アタシ、もう耐えきれないの。一刻も早くあの人を殺さないと。息が詰まりそうなの』
『……………』
『それに…あの女が先にあの人を殺す前に…一刻も早く、殺さないと。』
『あの女……?』
『ライトは知らないのね。最近この屋敷に出入りしている女がいるのよ。氷のような冷たい眼をした…忌々しい女がね』
『…随分とその女を嫌ってるんだね?』
『思い出すだけで腹が立つわ。あの女もきっとあの人を狙ってるのよ。何が神の御使いよ。アタシ、あの女の匂いが嫌いなの』
コーデリアは怒りで顔を歪める。
『だから…その女が殺る前に、アナタの手で殺すと?』
『そうよ。ああ、愛してるわ…カールハインツ。アタシが…この手で殺してあげるから。待っていてね』
恍惚とした表情を浮かべるコーデリアの瞳に狂気が垣間見えた。
そして別の日、屋敷の中を歩いていたライトが前方から歩いて来る女性に気付く。
『(……?誰だ?見かけない顔だな。)』
『……………』
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