第18章 お似合いのカップル
「話が、全然見えない…」
「んふ。だろうね。まあいいよ。ボクがこれからゆっくりキミに寝物語として聞かせてあげる。楽しみにしといてよ…ボクの夜はうんざりするほどに長いから、ね?」
「…まさか一緒に寝る気じゃ」
「そうだよ?お花ちゃんがいなきゃ寝物語を聞かせられないじゃない」
「全力でお断りさせて頂きたいんですが」
「んふ。拒否権は受け付けてないよ。それにお花ちゃんを抱きしめて眠ると、なんだか心地いいんだ」
「!」
「小さくて丸っこいからかな?」
「それ安易に太ってるって言ってるよね?」
「やだなあー丸っこいって言うのは、お花ちゃんがおデブだからとか、そういうのじゃないよ」
ライトくんは笑って言った。
「ふわふわしててマシュマロみたいってことだよ♪」
「絶対にディスってる!」
「まあまあ、そんなに怒らないで。お花ちゃんはそれくらいが丁度いいんだからさ。触り心地も抱き心地も文句ないよ」
「…褒められてる気はしないよ」
地味にショックだ。もう少し甘いものを食べるのを控えようと思った。
「ほら、部屋に行こう」
スッと手を差し伸べられる。
「……………」
「どうかした?」
「ライトくん、やっぱり…」
「今日は添い寝するだけだよ。それとも無理やり抱いたボクと同じベッドで寝るのは嫌?」
「まだ許してないよ…ライトくんがしたこと」
「許してないのにボクの隣にいてくれるキミは本当に素直じゃないね。言葉と行動が合ってないよ」
「……………」
「ねぇお花ちゃん、ボクはキミと同じベッドに入って、手を繋ぎながら寝物語を聞かせたいんだけど」
「…本当に何もしない?」
「ボクの話を夢中で聞くキミは可愛いから、我慢できなくなってキスはするかも」
「っ!」
「あ、今期待したでしょ。お花ちゃんってば、本当に素直じゃないんだから〜」
「ち、ちがっ…!」
「お花ちゃん、手、繋ごう?」
戸惑いながらも、ライトくんの言葉を一応信じることにした私は、差し出されたままの手を取った。
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